私が100キロあった頃はイヤミばかり言ってきてわざと嫌がらせしてきたりとかして、私もすぐその挑発にのって口げんかばかりしてたけど気付いちゃったんだよね。あの子が同性の子といるとこ見たことがないって事。

HELLO!!MY FRIEND



「ヒートーミーせーんぱーい!!」
振り返ると颯大クンが走ってきて後ろから思い切り抱きつかれた。
両脇にいた梨恵ちゃんと優ちゃんはさっと避けていた。
「のぁ!!」
前に転びそうになったのをなんとか踏ん張る。
100キロあった頃は大丈夫だったんだけど、只今1月の時点で最終目標の45キロになり、パーフェクトボディ+頭脳を手に入れていた。
リバウンドしないために今でもお菓子は控えてるよ。
「颯大クン…タックルはきついわ。今の私には…。」
「オイ!深水!」
橘君が走ってきて颯大クンを私から引き剥がした。
「すんません。大丈夫ッスか?先輩。」
「し…心配要らないわ。」
橘君も大変ね。
「大丈夫かい?」
前を向くと神城先輩と一ノ瀬さん。どうやら図書室へ行った帰りのようで二人とも本を持っている。
あの…周りの女子達が怖いんですけど。ここまで揃うと来るんだろうな。
嫌な予感がするよ。
「どうした?桜川。」
「ヒトミちゃん?」
やっぱり・・・。前方から私と同じように体育のジャージ姿の華原君、透君、(透君も痩せたんだよね。)時田君が走ってきた。
もう止めてください。これ以上騒ぎを大きくするのは。女の子たちの視線が刺さり、歓声が大きくなる。
「オイ、何やってんだ。おめーら」
なんで、先生まで来るんですかー!?アハ…これでお兄ちゃんまでいたら大騒ぎだわ。
「な、なんでもありませんから!大丈夫ですから!元気ですから!こ、これから体育館でバドミントンやるんで行ってきますから!」
脇で黙って笑ってた梨恵ちゃんと優ちゃんを連れて体育館へ全力疾走した。
あーもう、何で集まってくるんだー!

「あーら、桜川さん、今日もモテモテですのねぇ。羨ましいですわ。」
さっきの光景を見ていたらしい百合香があたしが体育館に入るなりイヤミを言ってきた。
…なんで体育館入った途端に百合香にイヤミ言われなければならぬのか。シカトして中に入る。
ちょうどチャイムが鳴り、皆、先生の下に集合した。
「はい、今日のバドミントンはダブルスです。二人一組になってください。」
梨恵ちゃんと優ちゃんと三人で集まりどうするか話す。
目の端に一人、体育座りで蹲り動かない子がいた。百合香だった。
誰も、百合香を見ようとしないし、話しかけようともしなかった。
そういえば、百合香って男子と女子の前で態度が全然違うから、女子からは嫌われてるんだよね。
「梨恵ちゃんと優ちゃんは二人で組んで!」
「え、ヒトミ!?」
二人は驚いていたが私は気にせず百合香のトコへ駆け出していった。
「ゆーりか!」
背後から百合香に声をかける。ハッとした表情で私を見た。
「な、なんですの?」
「一緒に組まない?」
驚いた表情の後いつものようにツンとした表情で嫌味を言う。
「さ、桜川さんバドミントンできますの?顔でシャトル受けるんじゃなくて。」
まぁ、100キロのころはそれが日常茶飯事だったもんなぁ。と思わず苦笑。
「あー確かにそうかも!だけどさ、スポーツセンター定期的に通ってるから運動神経もそれなりになってきてるんだよ!」
あのメンバーに誘われて行ってたら嫌でも運動神経も良くなるんだよね…
いつものイヤミも笑って受け流せた。だって、見えちゃったから。私が声かけるまでにしていた泣き出しそうな百合香の表情を。
「ま、まあ、組んであげてもよろしくてよ。」
スッと立ち上がると肩にかかった髪を払った。
「ありがと!んじゃラケットとシャトル持ってくるね!」
ラケット二本とシャトルを持って百合香の元へ戻った。
暫く二人で打ち合っていると梨恵ちゃんがやってきた。
「ヒトミ、東条さん。一緒にダブルスで試合やんない?」
「オッケー。百合香良い?」
「よろしくてよ。桜川さん、へまして負けないで下さい。」
「はいはい。とりあえず楽しんでやろう!」
コートに入り試合を始める。私たちの前ではイヤミと言うか人を小ばかにしたような笑顔をよく見せていた百合香がこの時ばかりは本当に心から楽しそうな笑顔を浮かべていた。
「桜川さん!いきましたわよ!」
「え、あ、とう!」
ギリギリでラケットを振ると見事シャトルにあたり梨恵ちゃんたちのコートのほうに入った。
だけど、テニス部で運動神経抜群の梨恵ちゃんがいるチームに勝てるわけがなかった。頑張ったものの私たちの負け。
私たち四人はコートの中で座り込み冬場なのに汗を掻きながら笑った。
「楽しかった〜。」
「これでまた体重が減らせるのではなくて?」
「確かにそうだね〜。」
百合香のイヤミに優ちゃんがゆっくりとした口調で賛同した。
「優ちゃんまで〜。あ、そうだ!放課後四人でスィーツ食べに行かない?低カロリーなんだ。お兄ちゃんが探してくれて、先生もそこなら良いって言ってくれたしね。」
梨恵ちゃんと優ちゃんは頷いたが百合香だけは驚いた顔をしていた。
「どうしたの?」
「いえ、四人ってと思いまして。」
「え。私と、梨恵ちゃんと優ちゃんと百合香だけど。」
「わ、わたくしもですの!?」
「え、都合悪い?」
百合香は少しどもったあといつものように告げた。
「ま、まぁ、どうしてもというなら一緒に行ってさしあげましてよ。」
「じゃ、決まりね!」

授業が終わり四人でお店に向かった。かわいい感じのお店でケーキも種類がたくさんある。
参考になるかわからないけど橘君買っていってあげようかな。あ、どうせだからお小遣い入ったし皆にお土産に買っていこう。颯大クンも一緒にお菓子食べたいって言ってたし。犬用のケーキとか売ってたらシュタインにもあげられたのになぁ。
とりあえず、ひとつケーキを選び、テーブルに向かった。
「遅いよ。」
「ごめーん。どれも美味しそうだったからさ。」
「そういう考えをしているから桜川さんはコロコロ体型になるんですわ。」
「もう、なりません!」
四人で喋りながらケーキを食べていると百合香が突然フォークを置き俯いた。肩が震えているのがわかる。
「「東条さん!?」」
「百合香!?」
百合香の膝にポタポタと水滴が落ちた。
「どこか痛いの?」
百合香は首を横に振った。黒くて長い髪のせいで表情が見えない。
ゆっくりと顔をあげた表情は涙を流しながらも笑っていた。
「わたくし、女の子の友達とこういう風におしゃべりしながら放課後を過ごしたのが初めてで…嬉しかったんです。」
「百合香。」
私たちはほっと肩をなでおろした。
「初めは同情なのかもとも思いましたが…」
「そんなわけないよ。ヒトミは同情とかで動く子じゃないもの。本心から友達になりたいって思ったんだと思うよ。」
のんびりとけどしっかりとした口調で優ちゃんは百合香に言った。
「ゆ、優ちゃん!!」
恥ずかしくて慌てる。それに続けるように梨恵ちゃんが百合香に告げた。
「そうそう!ヒトミは前向きだし挫けないしだからダイエットも成功したんだよね。うーん何て言うか単純、純真、一直線ってやつなんだよ」
「梨恵ちゃんそれ褒めてるの?」
「褒めてるってば!」
私がじっと見ると梨恵ちゃんは慌てる。その姿に私も優ちゃんも百合香も笑った。
「百合香、私たちこれからは友達だよ。あたしとの場合ライバル兼友達って感じかもしれないけど」
「そうですわね。これからもよろしくお願いしますわ」
百合香の涙で濡れた顔の照れたような微笑に私も「もちろん」と笑った。

これからどんどん仲良くなろうね!!


終わり


後書き
私の中で百合香は嫌な奴!のイメージもあったんですけどやたらヒトミちゃんに絡んでくるあたりヒトミちゃんと友達になりたいのかなぁって思って書いてみました。
っつか2年の1月の時点では百合香普通にイヤミ言ってるじゃんという突っ込みは無しの方向でお願いします。
だって、とりあえず男性キャラ全員出しておきたかったし(こんな理由ですみません)

2006、9、水城由羅