未来の王子様



―さすが野生育ちは違うよなぁ―

―その関節はそっちには曲がんねぇよ!―

―泣いても良いぜ。顔隠しといてやるから―

銀髪の日焼けした肌の人。

「んー」
「どうしたの?ナナリー姉ちゃん」
「起こしちゃった?ごめんね。ルー」
夢を見て起きてしまったあたしはどうやら隣で寝てたルーまで起こしてしまったようだ。
「姉ちゃん夢を見たんだ」
「夢?怖い夢?」
心配そうな表情のルーに首を横に振った。
「ううん、とっても良い夢だったよ。なんだかとっても懐かしい感じで…」
「姉ちゃんとっても寂しそうだね」
「…うん、なんか旅をしてるんだけどその旅をしてたメンバーが皆良い奴らなんだ。金髪の英雄を目指す熱血漢、
心優しい聖女と呼ばれる女の子、仮面を被った真っ黒衣装のムッツリ、面白いことと実験が大好きな天才、それと…」

―おい、ナナリー!―

「銀髪の日焼けした肌のナンパ男。ナンパばっかりしてあたしが怒ってだけど、戦うと強くていざってときには頼りになって優しい…んだ…」
「泣かないで、姉ちゃん」
ルーはあたしの顔を覗き込む。
「ごめ…んね…」
「大丈夫だよ、姉ちゃん。その人にきっと会えるよ」
優しい表情でルーが微笑んでいた。
「ルー?」
「きっと姉ちゃんの未来の王子様なんだよ。そんな気がする。名前とか覚えてる?」
あたしはんーと首を捻る。沢山名前を呼んでいた気がする。誰の名前を呼ぶよりも愛をこめて。
愛おしい人の名前。
「ロ…ニ…?」
「ロニ?ロニって僕を助けてくれたロニ兄ちゃん?」
そういえばあの人はどことなくルーを助けてくれたロニにそっくりだった気がした。
あたし、カイル兄ちゃんのことはちゃんと兄ちゃんって付けられるのにロニにはどうしてだか付けられない。付けたくなかったんだ。
必死になってルーを助けてくれたロニ。あの人があたしの王子様だったら良いな、なんて心の底で思ってた。

「おはよう。ナナリー、ルー」
入ってきたのはカイル兄ちゃんとロニとピンクの服の女の人。
もう、こんな時間だったんだ。気付かなかったけどあたしが目を覚ました時には朝だったらしい。
「おはよう!カイル兄ちゃん、ロニ兄ちゃん!」
ルーは元気良くロニに飛びつく。ロニも「元気だったか」なんてルーの頭を撫でた。
「ロニ兄ちゃん、カイル兄ちゃんこの人は?」
「初めまして、ルー。私はリアラよ」
リアラ…聞き覚えのある名前。そういえば夢に出てきた聖女に似てる気がする。
「ナナリーどうしたんだよ?」
ボーっとしてたあたしの顔をカイル兄ちゃんが覗き込んだ。
カイル兄ちゃんも夢に出てきた金髪の英雄に似てる。
「あのね!ナナリー姉ちゃんの未来の王子様はロニ兄ちゃんなんだって話してたんだよ!」
突拍子も無く言うルーにあたしもロニも真っ赤にして慌てた。
「ルー!何言ってんだい!」
「ルー、あんま驚かすなよ。まぁ、ナナリーが19ぐらいになったら考えてやらないこともないが」
「ナナリー姉ちゃんが19になったらロニ兄ちゃん、30代になっちゃうよ?」
鋭い突っ込みにさっきとは違う意味で慌てるロニ。
「う、うるせぇなぁ!」
カイル兄ちゃんとリアラ姉ちゃんは顔を見合わせ笑い二人でルーに言った。

「ルー、未来の王子様の話、間違ってないよ」

「カイル!リアラ!!」
慌てるロニ、楽しそうに笑うカイル兄ちゃんとリアラ姉ちゃんとルー。

どうやらロニがあたしの王子様になってくれるのはそんなに遠い未来じゃないらしい。


「大丈夫だよ!」


夢の中で旅をしていた19のあたしが言ってくれた気がした。

終わり
久しぶりの更新です。最近TOD2をクリアしたので書いてみました。
ロニナナ大好き!元に戻ったら年の差だなぁと思った。
話的にはED後な感じで。ジューダスとハロルドもいればいいのに。
ジューダスってカイルの叔父さんなんですよね。妹とカイルが「俺には叔父さんもいるんだよな!リオン叔父さんかエミリオ叔父さんって呼んでみたかったな!」っていうときっとどこからかストーンザッパーが飛んできてジューダスはそ知らぬ顔をしながら歩いてるよって話をしました。

2006、10、水城由羅