016/:/死ぬほど嬉しい。
今日は卒業式・・・。空は晴天。風も優しい。まさに卒業式日和。
あたし津田蓮華には好きな人がいる。
友達と別れることも寂しいが彼と別れるのはもっと辛い。
これからは会う事は無いから。
あたしの完璧片思い。
携帯番号もアドレスも知らない。
話したことはあるけど、彼にとって私はクラスメイトの女子A。
式中考えるのは彼の事。
彼の事を想って別れの歌を歌う。
涙が頬を伝った。
式が終わっても泣き止まないあたしを友達の優衣が慰めてくれる。同じクラスで席がいくら近く
ても絶対縮まらない距離。それどころか明日からはもっと遠くなる。
私が知らない彼女と幸せになるんだね。
最後のホームルームが終わるとバラバラになる。
あたしの学校は今じゃ珍しいセーラーと学ランの学校。だから女子は第二ボタンを貰おう
としていた。
「あんたは貰いに行かないの?」
「あたしは貰えないよ・・・」
そういうと「ふーん」と友達は一言。
そして何処かへ行ってしまった。数分後戻ってきた優衣はあたしにあるものを差し出した。
紛れも無く学ランのボタン。
「あんたのために奴からもらってきた。いる?」
手を差し出そうとすると優衣はさっと手を引っ込めた。
「蓮華・・・いつまで逃げるの?行ってきなよ。自分で。」
優衣の声はどこか怒っていた。
「けど・・・」
「けども、だがも無いんだけど。言わないで別れるほうがよっぽど後悔するよ。言ったほうがすっきりする。ダメなら私が慰めてあげる。」
優衣はにこりと笑う。・・・悔いが残るのは嫌だ。
あたしはゆっくり立ち上がる。
「アイツなら校庭にいたよ。」
「ありがとう。」
あたしは駆け出していた。
校庭に出ると彼は一人でまだ咲かない桜を見ていた。
「あ、あの・・・。」
声をかけるとこちらに顔を向ける。
「津田・・・?どうした。」
「あ、あの。」
赤くなる顔とドキドキする心臓を必死に押さえる。
「ボ・・・ボタンください。」
呟くように言うと彼はまだ残っているボタンの中から第二ボタンを引きちぎってあたしの手に乗せた。
「えっと・・・これは?」
「これはって・・・ボタンだけど。」
「いや、位置が・・・。」
「オレは、津田に第二ボタンあげたかったんだけど、迷惑だった?」
恥ずかしそうに尋ねる彼にあたしはブンブンと首を横に振った。
「死ぬほど嬉しい。」
涙が流れる、けどさっきまでとは違う嬉しい涙。
「オレも死ぬほど嬉しい。」
彼が手を差し伸べる。あたしは手を握った。
「もうすぐ、咲くな。」
「うん。」
「花見、しような。」
「うん。」
まだ、つぼみの桜達・・・。
あたし達もいつか・・・。
終わり
おまけ
「これ、アイツのじゃなくて兄貴のなんだよね。」
優衣の持っていたボタンは優衣の双子の兄貴のものだったとさ。
あとがき
卒業式シーズンってことで卒業式ネタです。
卒業式にこそ告白はしてしまったほうがいいと知ったのはつい最近(笑)
2006、3、水城由羅