その5母・透花の場合


母さんが同人作家だと知ったのは2年前のこと。
何か書いているのは知っていたけどそれまではただの小説家かだと思ってた。
「サクちゃぁーん!!大変!!」
イベントに行っていた直が「ただいま」も言わずものすごい形相でリビングに走ってきた。
「ど、どうしたのよ」
「母さんがシャッターだった!」
「はぁ?」
母さんは人間であってシャッターではないはず。しかもなんで直が行っていたイベントにいるのだろうか?
「まぁ、落ち着きなさい。母さんがどうしたの?」
「あのね、母さん私の好きな個人サークルさんでシャッターなの!」
…ようは母さんも父さん達と同じってことか。
嫌になって溜息をついた。
で、シャッターを解明できてないんだけど。
「だから、シャッターは?」
「あ、ああシャッターってのは大手サークルさんの名称。シャッター付近で売るから」
「そう…なの…」
同人作家でしかも大手ってどうなのよ。
その日、帰ってきた母さんを問い詰め白状させ現在に至るんだけど…
「母さん、掃除」
母さんの部屋のドアの前で原稿にいそしむ母さんを見た。
「朝したわよ?」
「ほう…」
あたしは廊下で拾ったトーンカスを摘まんで見つめた。
「なら、このトーンカスと消しカス何とかしろよ!」
「ごめんね、あと少し」
あたしは、母さんの部屋に入り横で立って見た。
「直が好きってことはBL?」
「うんまぁ。ノーマルもあるけどBLも描いているわ」
うーん、イラストは今時系な感じで超上手い。マンガを描くくらいだから文章構成能力もあるだろうし… 何故それを他の事にいかさなかったのか?
じっと見てると原稿に違和感を覚えた。
このキャラどこかで見たことある気が…
「母さんこの原稿って…」
「あは、わかっちゃった?直に頼まれちゃったのよ。蓮×晄本作って欲しいって」
悪びれもせず笑う母さん。あたしは絶句した。ふつふつと怒りがこみ上げる。
怒りたいあたしをよそに母さんは続けた。
「ほら、うちの子みんな顔良いじゃない?」
「だから?」
「あ、安心して18禁じゃないから!」
兄と弟の18禁なんて見たくもないわ!!
直も母さんも兄弟や子供でこんな妄想繰り広げてんのかよ!
「母さん」
「何?」
「とりあえず、家事やってくれ、でないと原稿…燃やすぞ
笑顔でチャッカマンを取りだし原稿に近づける。
「きゃー!わかった、わかった!!やります!!」
母さんはバタバタと部屋から出て行く。
静かになった部屋で原稿を見た。
これ、兄貴と晄が見たらショック受けるだろうな。いや、案外大丈夫か?
絶対父さんでも描いてるな…。
考えると家族辞めたいと一瞬思ってしまった。

教訓・趣味に没頭しすぎてる奴は脅してでも使え!


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ママ編。奥様は同人作家。
っつか、自分の兄弟のカップリング本とか描かれてたら普通嫌だわな。
次はとうとうラスト、桜ちゃん編です。
2006,8、水城由羅