十月になりまた気合を入れて学校へ行った。数週間後・・・。
「ん?」
朝になるとなんか胃が痛い・・・。
学校行けば平気なのに。
学校は行きたいのに、なんで気分が悪くなるんだろう。
皆が待ってるのに!
数日が経った。電車の前に立つと吐き気がする・・・。
イヤダコワイ・・・。
気づくとあたしは駅のホームから逃げ出していた。
逃げて逃げて、行き着いた一つの公園。
小さな小さな誰もいない孤独な空間。
あたしは、ベンチに腰を下ろした。
家に帰る?帰れるわけ無いじゃない。
「世間に出てから通用しない」と言われたこの心、身体、いったい何処に行けばいい?
あたしは、大人になりたいの、こんな風になるために成長して、大学生になったわけじゃない。
普段出来ていたものが出来なくなる。
行動範囲がどんどん狭くなる。
今まで行けていたところが行けなくなる。
あたしはいつか引きこもってしまう?それは駄目だよ。でも、それはいけないことなの?
沢山の疑問が浮かんでは消える。
心が制御できなくなる?
それから何をするでなく公園で過ごし帰宅時間に合わせ帰った。こんな日が何日も続いた。

リストラされちゃって、言い出せないサラリーマンもこんな気分なのかな。なんて思った。
きっと、家族の笑顔や言葉を考えるとなかなか言い出せないんだ。
今までの自分はなんだったんだろうって考えて。
家に帰ることなくいろいろ自分を責めるんだ。
いけない事だって、何か変えなきゃいけないって悩んで悩んで悩み続けて、突破口はすぐそばにあって意外と簡単
なことなのに、それが一番大きな壁となって立ちはだかる。
自分が、もっと強ければ、しっかりしていれば簡単な壁なのに。
それがどうしても出来なくて、違う突破口はないかと結局、堂々巡りをしてしまう。

「行ってきます。」
「はい、行ってらっしゃい。」
母さんの明るくハキハキした元気な声。
あたしはこの声が大好き。元気に気合入れて出かけられる。あたしも笑顔になれる。
元気な「行ってらっしゃい!」にはこんなすごい効果があること、今まで気づかなかった。
それなのに、元気に受け入れられるのに今は心苦しい。
あたしがちっぽけすぎて、そんな、楽しく元気に返す余裕なんて全然無い。
だって、あたしは、学校に行ってないから。
正直に「あたし、電車が怖くて学校に行ってないの!」って言えればいいのに・・・。
言えない自分が小さい。
本当は、近所の公園で毎日毎日、時間つぶしてるんだよ。
何してるでもなく、秋のぽかぽかした日差しに照らされながら、学校に行けない自分、言い出せない自分を悔いてずっとずっと、責めてる。
だから、あたしは母さんからそんな風に元気に送り出してもらえるような子じゃないの。あたしは嘘つきよ?ズルイ子なの。
だからそんなにあたしに笑顔を見せないで。
叱ってよ。嘘をついて、ずるくて皆の誠意ある行動をことごとく裏切る子だって。
涙でぼんやりと視界が滲む。あたし、泣いちゃいけない。
笑顔を作り母さんのほうを向く。
ダイジョウブアタシハゲンキ・・・。
小さな小さな、今のあたしに背いた呪文。
「任せて!行ってくるね!」
玄関が閉まると胃を抑えた。
今日は・・・ダイジョウブ?
ゆっくり、ゆっくり駅へ向かう。のどがからからになる。手が氷のように冷たい。
駅が見えた瞬間。
恐怖感があたしを襲う。
コワイ・・・。
恐怖があたしを支配しあたしは一目散に走った。あの公園まで・・・。
公園に着いたあたしを襲ったのは虚無感。
ナニヤッテンダロウ・・・アタシ・・・。
嘘ついて学校にも行けなくて。
後悔しかなくて。
ベンチに座ると涙がどっと溢れた。
「馬鹿だ・・・。あたし。」
でも、もうあたしだけじゃどうしようもなくて、どうしたら良いのかわからない。
理由をいろいろ付けてもそれは後からついてくる付属品でしかなくてホントの闇はきっともっと違う。
こんな風にならない、もっとしっかりした大人になりたいよ。
ポケットに入れた携帯からメロディが流れる。
名前は『佐倉亮』
「もしもし・・・。」
「お前、最近ちゃんと学校行ってないだろ?・・・泣いているのか?」
頑張って誤魔化したけど、やっぱり声でわかるらしい。
「ん・・・」
「今、何処にいるんだ?」
口調が荒くなる。
「えっと、青寺駅の近くの公園・・・。」
「わかった、青寺駅で待ってろ!」
乱暴に言うと切れてしまった。
何なんだろう。
あたしは青寺駅へ向かった。
駅で待っている間も涙が止まらない。
この涙は何を意味しているんだろう・・・。

数分後、改札口に亮クンが現れた。
ほっとしてさっき以上に涙が溢れる。
「おっ、おい!涼香?」
あたしは亮クンの腕を力強く掴むと俯いて泣いた。
「ごめ・・・でも、どうして?」
しばらくしてあたしが聞くと亮クンはあたしの腕を掴んだ。
「俺んち行くぞ!」
「え!?」
あたしは驚いて目を丸くした。
まぁ・・・確かにここにいても、することは何も無い。
「今日はお袋も姉貴もいるから。」
「亮クン学校は?」
「サボリだサボリ。こんなになってるいとこほっとけるかよ!」
そのまま引っ張られると電車に乗り亮クンの家まで来た。
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